人生には、病気や事故など思いもかけないことが起き、そのことによって住宅ローンの支払いが苦しくなってしまうこともあるでしょう。
また、不況による勤め先の業績悪化に伴う減収などは誰の身にもおこりうることです。
このように、住宅ローンの支払いが困難になるということは、決して珍しいことではなく、10人に1人とも、7人に1人とも言われています。
もしそうなったとしても、決して思いつめることはありません。解決方法はいろいろあります。
その一つが任意売却です。任意売却とは、住宅ローンの支払いが苦しい状態に陥った場合、債権者から競売にかけられて住宅を失う前に、所有者自らがマイホームを売却してローンの支払いに充てるという方法です。
これについて詳しくご説明いたします。
任意売却とは
先の説明よりももう少し詳しく説明すると、物件の売却価格が残っている住宅ローンの残額より少なく、それを全額弁済に充ててもローンが残ってしまうケースがあります。
その際に住宅についている抵当権を外してもらえない状況が予想できるので、債権者と交渉して売却を成立させることを言います。
任意売却の詳しい説明や流れはこちらで詳しく説明しています。
住宅ローンの返済が厳しくなった際にまずやること
もし、経済状態が厳しくなり住宅ローンの返済が難しくなったら、まずは家計の見直しを行い節約や収入アップを図りましょう。
それでも支払いが難しい際は、融資を受けている銀行に相談しましょう。
例えば、経済的苦境は今の一時的なことで、数年後にはよくなる見通しがつくのなら、銀行に相談してリスケジュールという方法をとることができます。
住宅ローンのほかにも負債があり、それを整理すれば何とかなるということなら、地方裁判所に、個人再生を申し立てる方法があります。
住宅ローンの滞納期間の説明はこちら
融資を受けている銀行への相談や個人再生もおこなわず、住宅ローンを滞納したままにしておくと、債権者から競売を申し立てられるという形で住宅を手放すことになります。
この場合は、任意売却で手放すよりデメリットが大きいのです。
なお、任意売却をしたい場合は、専門の不動産業者に相談することになります。
任意売却の相談がしたい方はこちら
競売に至るまでの流れ
住宅ローンの返済が滞り始めてから競売でマイホームを失うまでの流れは、次のようになります。
まず、催告書や督促状が届くようになります。早く払ってくださいという文書です。
これの後は、期限の利益を喪失しましたよという文書が届きます。
つまり、ローンの残りの債務を一括して払ってくださいという文書です。
この文書が届いたのち、保証会社から金融機関に対して債務が弁済されます。とはいっても、これで債務がなくなったわけではありません。
債権が金融機関から保証会社に移ったということです。
そこで、代わりに支払いました、では、こちらに支払ってくださいという代位弁済の通知が送られてきます。
そういわれても、弁済できない場合が多いと思いますが、その場合、地方裁判所に競売が申し立てられて、あなたのマイホームが競売にかけられることになります。
競売にかけられるとどうなるか?はこちらでも詳しく解説しています。
競売と任意売却の比較
この二つにはさまざまな点で違いがあります。
売却価格
任意売却のほうが高く売れるでしょう。
それは、任意売却は通常の売却活動なので、物件の市場価値に沿った価格で取引されるのに対し、競売の場合は所有者の協力のもと、室内を確認するということができにくいので、どうしても購入者が業者などに限られます。
そのため競争が少なく、結果として価格が市場価値の半値か七割程度と低めになってしまうのです。
プライバシー
任意売却のほうがあなたのプライバシーは守れます。
なぜなら、任意売却は通常の取引なので、なぜ売却するのかといった事情は、関係のない第3者に知られることはないでしょう。
一方、競売の場合は、競売にかけられたという事実によって、経済的に苦しいということが知られてしまいます。
また、不動産情報ということで、広く公開される仕組みとなっています。
期間
売却し、代金が入ってくる期間が長くなればそれだけ遅延損害金などが膨らんでしまいます。その点においても、任意売却のほうが早く解決するでしょう。
競売は、裁判所の手続きなので、どうしても時間がかかってしまいます。
反対に任意売却は、買い手さえ見つかればすぐにでも取引が可能です。
このように両者には違いがありますので、住宅ローンの支払いに困ったら速やかに対応策を考えることが大事です。