「不動産調査と現況通知」という聞き慣れないものが届き、疑問に思われていることでしょう。
略して現況通知とも呼ばれるこの通知は、競売開始後、物件の値段をつけるための資料を作るために、執行官と評価人が指定の日時にそちらに行きますよという通知です。
これには国家権力による強制力があるので、執行官の立ち入りを拒むことはできません。もし、あなたが居留守を使ったり、立ち入りに同意しなかったりすれば、執行官は鍵を開けてでも建物内に入り調査を実行します。
もし、立ち入りを妨害するものがいたならば、その者は公務執行妨害の対象になる可能性もあります。
調査は、具体的には室内の写真を撮ったり、関係者に話を聞いたりします。
そしてこの写真は後ほど公開されることになります。
不動産調査が行われるということは、競売手続きが着々と進んでいるということを意味しています。
もし、競売であなたの大切な不動産を取られたくなければ、速やかに行動しなければなりません。
現況通知前に送られてくる競売開始通知についてはこちらで詳しく解説しています。
執行官・調査官とはどんな人たちなの?
執行官とは、各地方裁判所に所属する裁判所の職員のことです。
執行官は、裁判官からの執行命令を受けてやってきますので強制力を持っています。
執行官の仕事は、競売不動産の調査をし、入札に立会い、もし建物の明け渡しが速やかに行われない場合は、邪魔をしているものを強制的に退去させることです。
ですので、彼らの仕事は競売をつつがなく進めていくことであり、競売以外の方法を提案してくれたりすることはありません。
また、競売の申し立てには費用が掛かります。そしてそれが執行官の収入になる仕組みとなっています。
執行官は、裁判所の職員ではありますが、裁判所から給料をもらっているわけではなく、競売の手数料をその収入としているのです。
ならば、なおさら、執行官が競売以外の方法を勧めることは考えにくいです。
なお、競売の費用については、申し立ての際に債権者が払うことになりますが、それを申し立てられた人に対して請求することも可能なのです。
一方、評価人は裁判所からの嘱託を受けた不動産鑑定士のことで、不動産評価の専門家です。
裁判所が、物件の基準となる価格を決める際の基礎資料の作成を担当します。
すぐにでも不動産を手放さないといけないの?
競売の取り下げは、改札日の前日までは可能です。
ただそこまでに至る残り時間はそう多くはありません。
現況調査が行われた後のスケジュールは、まず調査をもとにした3点セットと呼ばれる必要資料が完成した後、入札日が決定されます。
次に、入札公告が行われ、入札の2,3週間前からインターネットや新聞に競売不動産であるあなたの自宅の情報が公開されることになります。
その後、入札期間が1週間ほどあり開札となります。ここまで期間にして3,4か月程度になります。
ただ、競売の申し立てを取り下げられるのはあなたにお金を貸している債権者ですので、そちらの社内的なスケジュールも考慮すると実質的にはもっと短い時間しか残されていません。
ですので、速やかに行動することが大切です。そしてそれが、任意売却なのです。
競売にかけられる前に回避する方法はあるの?
競売を申し立てるのは債権者ですから、債権者のメリットになることであれば競売を取り下げてくれるでしょう。
その債権者のメリットとは、その不動産が競売にかけるよりも高い価格で売れることなのです。任意売却ならばそれが可能です。
なぜなら、任意売却なら通常の売却活動と同じですので、その不動産の市場価値に沿った価格がつくことが期待できるのに対し、競売はどうしても買い手となる人が限らるので価格が下がります。
任意売却の場合の半値から7割程度といわれています。
債権者としても任意売却によって、高く売れる方がありがたいのです。