裁判所が幽霊の存在を認めた?超訳アリ物件「幽霊の出るラーメン屋」

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「幽霊が出るなんて聞いていない!」ラーメン屋店主が、大家を訴えた

2008年の事です。埼玉県日光市でラーメン屋を営んでいた男性が、店舗の大家だ度を相手取って損害賠償訴訟を起こしました。

訴状の内容は、「客や知人から、この店舗に幽霊が出ることを聞き、自分自身も白い影を見たり、無人なのに足音を聞いたり、奇怪な現象にあった。契約の時に幽霊の話は聞いていないし、聞いていたら契約しなかった。敷金や礼金などの契約書経費と慰謝料、諸々含めて502万円払え!」というモノでした。

このいわく付きの店舗兼住宅は、もともと大家が長男のレストラン開業のために新築したものだったそうです。しかし数年うちにその長男が交通事故で死亡し、残された長男の妻や子供も出て行ったために、空き家になりました。

その後、鬼怒川温泉で板前をやっていた人が和食屋として再開したのですが、その頃からこの建物に「出る」という噂が流れ始めたらしいのです。

この訴訟は裁判所が“幽霊被害”を認めるか?という点で、訴訟が起こされた時点では相当話題になったようですが、その公判や判決についての後追い情報はほとんど残っていません。

裁判所が認めたのは“風評被害”幽霊の存在にはノータッチ

その理由は裁判の内容をよくよく検証すると、その争点は、“幽霊が出るという情報を、契約時にちゃんと原告(ラーメン屋の店主)に告知したか?”という点だったからでしょう。

つまり裁判所は、幽霊の存在に関してはそれが実在するかどうかは審理せず、幽霊が出るという風評があることを、ちゃんと事前に告知したかどうかだけをハッキリさせようとしていたわけです。

結局判決は原告側が勝訴したらしいのですが、それは裁判所が幽霊の存在を認めたからではありません。

事故物件の告知義務は2年。それを過ぎれば黙っていても訴えられない

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こうした賃貸物件で人が住みたがらない過去がある物件は、業界では「瑕疵(かし)物件」、とか一般的にも知られている「事故物件」と呼ばれています。

幽霊が出るといわれる物件も実際は結構ありますし、もっと多いのは自殺や孤独死、あるいは殺人などで人が死んだことのある物件はもっとたくさんあるようです。

こうした事故物件は、家賃がその地域の相場に比べて妙に安かったりしますが、過去にその部屋で何があったかのかを不動産屋は、入居希望者に重要事項説明として話す義務があります。それを黙って入居者と契約すると、冒頭で紹介したラーメン店の男性の裁判と同じく、損害賠償請求されてしまうわけです。

ただその建物がある限り、事故物件の重要事項説明は、およそ2年という裁判の判例が出ていますので、2年経過すれば告知義務はなくなるというわけです。しかし実際のところ物件周辺の噂が2年経っても残っているケースもありますので、明確に2年経てば、絶対に事故物件のレッテルが剥がせるというモノではないといいます。

事故物件に当たった時のまとめ

事故物件とは、自殺、他殺、火事、放火、衰弱死など事件性がある死亡事故が起きた物件を指します。

毎日どこかで凄惨な事件が起きている世の中です。必ずあなたのお住まいの周辺でも事故物件があるはずです。また、不動産屋が勧める格安物件の中にも事故物件がある可能性があります。

まず、大体においてそのような物件は市場価格よりも2,3割程度安いはずです。その安さには必ず理由があるはずです。不動産屋には説明責任がありますので、しっかりと聞いてみましょう。

また、何の説明を受けないままそのような事故物件を借りたばかりに「幽霊」が出たり「金縛り」に遭うなどの具体的な被害があれば、損害賠償もできます。

泣き寝入りせずに仲介した不動産屋に抗議しても問題ありませんよ。

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