【賃貸物件に新ルール】自由にリフォームしても退去時に原状回復しなくても良くなった!

leasehold property

これからは、賃貸住宅を自分好みにリフォームできたりDIYも可能になる事をご存知ですか?

現在は、住んでいる賃貸物件を自分好みにリフォームすることはまず不可能ですよね。
もし、幸いなことに家主の同意が得られたとしても、退去時には原状回復という入居時の状態に借主負担で戻さなくてはなりません。

しかし、これからは賃貸物件でもリフォームやDIYは可能になり、原状回復することなく退去できると言うのです。

一体どういうことでしょうか?

制度変更の理由は”空き家”

賃貸物件をリフォームできるという話しをする前に、この制度変更のそもそもの原因である「空き家問題」について説明しましょう。

空き家に関しては、最近、いろいろなメディアで取り上げられるようになりました。
少子高齢化や都市部への人口集中などの影響により、地方を中心に国内の空き家はどんどん増え続けています。

平成25年度の総務省の調査によると、国内の空き家件数は約820万戸です。そのうちの3分の1以上が賃貸物件の空き家と言われています。

平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約
-中略-
総住宅数は6063万戸と,5年前に比べ,305万戸(5.3%)増加
空き家数は820万戸と,5年前に比べ,63万戸(8.3%)増加

新しい住宅やマンションはどんどん建設されていますが、一方で、古い賃貸物件は空き家となってそのまま残っていくというねじれ現象が進んでいるわけです。

まだまだ、これからも空き家は増え続けると言われており、地域に深刻な問題をもたらし始めています。

空き家が地域にもたらす問題点

  • 治安の悪化
  • 衛生面の悪化
  • 防災時のリスク
  • 環境の悪化
  • 景観の悪化

などがあります。

これらの空き家の中には、十分に住めるような賃貸物件もたくさんあります。
しかし、建物や設備の老朽化などにより、借主が現れないというミスマッチが続いている訳ですね。

中古住宅でもリフォームすればおしゃれな部屋に早変わり

昨今、中古マンションや中古住宅を購入して自分好みに業者に頼んでリフォームしたり、DIYする人が増えています。

中古住宅の人気の理由は値段が安いこともありますが、リフォームにより費用を抑えて自分好みの新品同様の住宅に生まれ変わらせる事ができるからです。
これは空き家も同様で、きちんとリフォーム、DIYすれば気持よく暮らせる住居になりますよね。

中古マンションもリフォーム[出展]photo bydesignbuildinhabit

しかし、部屋の改装・改修というのは自分で購入した物件だからできる事です。

賃貸住宅に住んでいる人の多くは、いろいろアレンジしたくても「家主との交渉」「退去する時の原状回復費用」の事を考えたら、やりたくてもできないというのが現状だと思います。

国土交通省が新たな賃貸流通のガイドラインを策定

空き家の問題や賃貸市場の活性化に関しては、有識者の間で様々な議論がされていましたが、それを取りまとめるかたちで2014年3月に国土交通省が新たなガイドラインを発表しました。

貸主が修繕義務を負わない代わりに低廉な賃料とし、借主が自費で修繕や模様替え等ができることとし、当該箇所について退去時の原状回復義務を免除するというものです。所有者(貸主)としては、現状そのままの状態で貸すことができ、また、借主が自費でリフォームを行うことから長期間居住を希望することが期待できるというメリットがあります。

このガイドラインには、賃貸物件でも部屋を自由にリフォームできるということが明記されています。
つまり、「借主負担DIY型」というタイプであれば、家主の同意を得れば自由にリフォームができて、しかも、退去時に原状回復の必要も無いという事なのです。

今までの、賃貸ルールには無かった画期的な取組みと言えますね。

どのような事が起きるの?

賃貸物件も自由にリフォームできるようになれば、新たな需要が生まれるのは間違いありませんね。

今まで見向きもされなかった、古い建物やマンションの一室がリフォームやDIYできることで、その人のライフスタイルに遭った住宅に生まれ変わります。
個性的な家や部屋が増えることでしょう。

借り手のメリットも多く、安い家賃の物件を自分好みにして住むことができますし、自費でリフォームした人は、賃貸というよりもマイホームに近い感覚になります。結果的にその賃貸物件に長く住み続ける可能性が高くなります。

リフォームでマイフォーム感覚[出展]photo bySWIMPHOTO

家主としても、長く住んでもらえば継続的に家賃収入が得られますよね。
さらに、入居前のメンテナンス費用なども掛けなくても大丈夫になります。いわゆる、場所貸しとして管理も楽になります。

賃貸物件を自由にリフォームできるメリット

  • 空き家の減少
  • 賃貸市場の活性化
  • 地域の活性化(定住促進、Uターン)
  • 賃料が安い物件に住める
  • ライフスタイルに合わせた住環境が実現
  • 家主は安定的な家賃収入が得られる
  • 家主は新たな借主のための設備投資が不要

空き家も減って、地域も活性化すれば、「借主」、「家主」、「自治体」の三者が得するという、まさに、三方一両得のシステムになるわけですね。

「借主負担DIY型」という新たな賃貸契約のポイント

「借主負担DIY型」のポイント[出展]photo by個人住宅の賃貸活用ガイドブック

これまでの賃貸ルールでは、賃貸物件をリフォームする場合には、家主の許可を得てリフォームをおこない、退去時にはもとの状態に戻すという原状回復の義務がありました。

それが、今回の改正で大きく見直される訳ですが、どのようなルール変更となるのでしょうか?

具体的に整理すると以下のようになります。

これまでの賃貸物件のルール

  • 家主の同意なしに賃貸物件のリフォーム、DIYはできない
  • 退去時には原状回復を借主負担でおこなう
  • 入居前の修繕や設備更新は家主が負担
  • 入居後の修繕などは家主が負担

賃貸物件の場合、借主の立場は弱く、家主から借りた家(部屋)はキレイに使用して、キレイな状態にして戻すというのが原則となっています。

退去する時に入居前の状態になっていなければ敷金の中から多額の原状回復費用を取られる事になります。

新たな賃貸物件のルール

  • 家主とDIYをおこなう交渉が可能
  • 同意後は自由にDIYが可能
  • 原状回復義務の免除を確認
  • 退去時にも原状回復の必要なし
  • 家主は現状のまま貸すことが可能

[参考]
個人住宅の賃貸活用ガイドブック

国土交通省の賃貸借ガイドラインによると、上記のように明記されています。
事前に家主にリフォームやDIYの報告をおこなえば、借主負担で自由におこなうことができ、退去時には原状回復の必要がありません。借主の権利が認められるた形となりますね。

「借主負担DIY型」の注意点

借主がリフォーム費用を払うから、すべて何でも自由におこなっていいという訳ではありません。

DIYを実施する際には、家主に事前に確認の上進めなくてはなりません。これは、従来と変わりませんね。

但し、同意を得たらDIY自体は自由にできますし、老朽化している部分や設備を新しくする費用を借主が負担することを条件に、家主と家賃交渉なども柔軟におこなえるようになります。

また、原状回復は基本は不要ですが、実施箇所によっては免除されないケースが出てくる場合も考えられます。
この辺りは事前に家主と交渉の上、進めていかなくてはならない所です。

  • DIYを実施可能な箇所の確定(壁、床、棚、収納、トイレ、台所、風呂等)
  • 施工方法、次期、必要な近隣対応
  • 実施箇所について原状回復義務の免除
  • 実施後の確認方法
  • 実施箇所、入居時期、契約期間等を勘案した家賃設定

どの範囲までリフォームしてよいの?

DIYの範囲[出展]photo byAdam Rice

賃貸物件のリフォーム(リノベーション)の範囲についてですが、現状では特に決まったルールは設けられていません。

これから国土交通省の中で多少の条件変更などは設定されるかもしれませんが、基本的には「自由なリフォーム」を許可しています。

今後、大手の不動産業者の動きで様々な条件設定や業界基準というものが出てくる可能性はあります。

しかし、不動産業者や家主の利害によって、このような画期的なガイドラインが変更されるようでは本末転倒ですね。

次の発表や賃貸市場の動向を見守りたと思います。

まとめ

賃貸物件を自由にリフォームできるとは、賃貸住まいの人にとっては画期的なルール制度変更ですね。

しかし、前述の通り今年ガイドラインが発表されたばかりの新しい制度です。まだ、一般には広く知られてませんし、不動産業者や家主にも広く周知されている訳ではありません。

現段階では、勝手に賃貸物件をリフォームすれば、不動産屋、家主から難癖を付けられて退去時に多額の費用を求められないとも限りません。

現状お住まいの物件に関しては、家主と交わした賃貸契約書が有効になるのは言うまでもありません。
契約書には、従来通りの原状回復に関する記述がされていると思います。

もし、今すぐにでもリフォームを検討したいと考えている人は、賃貸契約書をチェックするとともに、事前に不動産屋に確認の上進めた方が間違いありません。

この新しいガイドラインに関して、家主や不動産業者に説明をおこなえばリフォームやDIYを認めてくれる可能性はあります。

一度、聞いてみても良いかもしれません。

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