任意売却の用語集
ゆとり返済(ゆとりへんさい)とは[意味/説明/解説]
別名でステップ返済とも呼ばれるゆとり返済は、政策金融機関の住宅金融公庫(現在は住宅金融支援機構)が採用していた住宅ローンの返済方法で、2000年には廃止されています。
ゆとり返済の特徴は、最初の5年間は返済額が少ないのですが、6年目に返済額が上がり、さらに11年目にも上がって、最初の5年間とは倍近くの返済負担を強いられる方法でした。
将来返済額が増えても、給料も上がっているはず地価も上がっているはずという、幻想のような見通しの甘さが大きな問題を招きます。
ゆとり返済が導入されたのは、バブル経済が崩壊した直後の1993年で、当時は一般の人たちまで経済危機を実感していませんでした。
景気が悪化の一途をたどり、給料は上がるはずもなく、しかも不動産は下落したため、開始から6年目と11年目の返済額増加についていけない人が続出します。
元々ゆとり返済は、景気対策として導入されていますが、専門家だけではなく導入した側においても、当時の経済状況を考えればゆとり返済が破綻することは予想できていたのかもしれません。
しかし、住宅を購入したい利用者は、5年間の少ない返済額に魅力を感じ、信用できる公庫であることも拍車を掛けて飛びついてしまったのです。
最初の5年間は返済が少ないとしても、トータルで支払う金額は変わらないので、ゆとり返済は単に返済を後回しにしているに過ぎません。
しかも、当時は現在のような低金利時代ではなく、高い金利にもかかわらず、返済を後回しにするという考えられないほどリスクのある返済方法でした。
現実には、景気は急激に冷え込み、膨大な不良債権が発生してデフレ時代に突入していきます。
給料は増えるどころか減る傾向にあり、ゆとり返済が前提としている将来像とは正反対であることが誰の目にも明らかになりました。
その結果、住宅ローンを支払えずに住宅を手放してしまう人や、自己破産してしまう人が増えて問題視され、ゆとり返済が廃止されるだけではなく、住宅金融公庫自体も廃止されて、独立行政法人の住宅金融支援機構へと移っていったのです。