日本の住宅寿命は30年?海外の住宅に比べて圧倒的に短い理由
日本の住宅寿命は他の先進国に比べて圧倒的に短い
日本の住宅寿命は30年程度だと言われており、先進諸国の中でダントツに短命です。
主な先進諸国の住宅寿命は、
- イギリス:141年
- アメリカ:103年
- フランス:86年
- ドイツ:79年
- 日本:30年
となっており、日本の住宅寿命が極端に短いのがわかります。
数字のマジック?日本の住宅寿命が短いのは戦争のせい?
住宅寿命というのは、住宅を建ててから取り壊すまでの平均値です。
したがってイギリスの住宅が、すべて100年以上住んでいるとは限りませんし、フランスやドイツでも100年以上建っている住宅が珍しいわけでもありません。
そうした事を踏まえてたとしても、日本の住宅寿命の短さは欧米諸国に比べて半分以下という短さですが、これには日本独自の事情もあります。
日本は太平洋戦争で負けた際に、都市部は爆撃によって軒並み焼け野原になってしまいました。
したがって日本の住宅の多くは戦争後に建てられたモノです。
だから現在日本国内に建っている住宅の中で、築70年以上経っている住宅の割合が意外に少ないという理由があります。
さらに戦後の復興は急速に行われましたが、終戦直後はとにかく雨露をしのぐ為だけのバラック住宅が乱立しました。
そして当時の人は家を建てる時、ヨーロッパ諸国のように100年も200年も住める家を建てて子供や孫に住み継いでいくという発想はなったわけです。
とりあえず自分の代のうちだけ保つ住宅を建てようという価値観で家を建てました。
結果的にバラック住宅や、海外から「ウサギ小屋」と揶揄された耐久年数の低い住宅が数多く建てられた為に、日本の住宅寿命は極端に短くなったと言えるでしょう。
建築業界が日本の住宅の寿命を短くした?
日本住宅の耐久年数が短くなったのは、戦後の成長期に慌てて家を作ったという理由だけではありません。
建築業界も消費者に手頃な価格で多量に住宅を供給するためには、耐久性を犠牲にせざるを得なかったわけです。
ただ日本が驚異的な経済発展を遂げた後も、建築業界はコスト重視の住宅を作り続け、耐久年数を30年程度で家を建て替えるというサイクルが一般化してしまいました。
これは別に建築業界だけが特別儲け主義に走っていたわけではありません。
電化製品は3年から5年、車は5年から10年程度で買い換えサイクルが一般的になっているのは、家電業界や自動車業界がコスト重視で商品を作っているからです。
これからの価値観は200年住める家?
30年で家を建て替えるという価値観は、同時に「住むのなら新築」という発想を日本人に植えつけました。
その結果としてまだまだ手入れすれば住める家があるのに、その子供たちは新築の家を建てるのが当然だと思って実家を離れ、やがて住む人がいなくなった家は空き家になって、それが近年は「増加する空家」として社会問題になっています。
ただそうした価値観はだんだんと変わりつつあり、建築会社によっては「200年住める家」という高耐久住宅の商品を提案しているところもあります。
こうした住宅が増えいていけば50年後m日本の住宅寿命は欧米諸国並みに延びるかもしれません。